彼の素顔は甘くて危険すぎる


(不破視点)

1月7日午前10時25分、ロサンゼルス発羽田着。
10日ぶりに日本に戻った俺は、リムジンバスで新宿駅へと向かう。
時差17時間。
さすがに体に堪える。

翌日は始業式ということもあり、出来る限り寝て過ごした。

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翌朝。
朝食を軽く済ませて自宅を後にした。
1分1秒でも早く会いたい。
スマホの動画や写メだけじゃ、物足りない。

電話をかけても中々繋がらず、結局メールでのやり取りが殆どだった。
きっと、彼女はそれで十分というか、大して気にも留めてないと思う。

俺が毎日見悶えてるってのに、きっと彼女は『あ、またメールだ』くらいにしか思ってないはず。
ここ数日なんて、既読になるのも遅くて。
返信のメッセージもかなりの時差があって。
既読スルー?と思ってしまうほど。

だから、本当は昨日帰国したら会いに行きたかったのをグッと堪えた。
ウザがられたら、元も子もない。

感情が煮えたぎってる状態なんだけど、それを表に出さずにクールな表情をキープしながら……。

学校に到着した俺は、すぐさま彼女の下駄箱を確認。

「え、……まだ来てないじゃん」

下駄箱は空のまま。
ブラウンのローファーがそこには無かった。

仕方なく、教室で待つことにした。
けれど、始業を知らせるチャイムが鳴っても、担任が教室に現れても隣の席は無人のままで。

出欠席を確認する名前が呼ばれても、彼女の番で担任が『橘は休み、と』と口にした。

休み?
体調でも悪いのかな?

SHRが終わり、体育館へ移動する際に担任に確認したら、『風邪で欠席』と連絡があったらしい。
風邪、……大丈夫なんだろうか?