彼の素顔は甘くて危険すぎる


「彼氏の写真ないの?」
「えっ?」
「あるでしょ~、今時の子だもん。うちの息子だってスマホに彼女の写真びっしり入ってるよ」
「そうなんですか?」

休憩室でお昼ご飯を食べていたら、事務の夏木さんと看護師の木島さんに質問攻めにされて。
夏木さんの息子さんは、小中高とバスケをやってて、スポーツ特待でかなり強豪校に通っている。

「あるにはありますけど……」
「見せてみせて~!」
「見た~~~いッ!!」

不破くん、ごめんね。
提供する話題がなくて、写メを餌に使います。
そんなことを心で唱えながら、ポケットからスマホを出してアルバムを開く。

「うっわぁ~~っ、モデル?芸能人?すんごいイケメンじゃないっ!」
「整形してないよね?」
「……してないと思いますけど」
「天然でこの仕上がり。ご両親も美男美女だろうね」
「きっとそうだよ」

……そうなのかな。
ご両親の話を聞いたことがない。
だけど、あれだけ容姿端麗だもん、きっとそうだよね。

「加奈子さん、見て!超ラブラブな写真発見♪」
「えーどれどれ?」
「えっ、そんなのありましたっけ?!」

木島さんが夏木さんに写真を見せてる。
自分のスマホなんだけど、すっかり取られてしまってるから、そのスマホを覗き込んで……。

「えっ?!何、その写真!!」
「ひまりちゃん、覚えてないの?」
「……はい。知らないうちに撮られてるっぽい」

私が絵を描くのに夢中になってて、隣に座った彼が私の髪にキスしてる。
これは危険だ。
母親に見つかったら怒られそう。

「あら、イケメン彼氏くんに溺愛されてるじゃない、ひまり♪」
「あ、……お母さん」

私たちの後ろから覗く形で母親に見つかった。
だけど、何だか嬉しそう。

「ひまりもこういう年頃になったのねぇ~」