彼の素顔は甘くて危険すぎる


(ひまり視点)

12月29日、午前11時。
自宅の小児科クリニックの待合室で、診察待ちでぐずる子供の相手をしている。

この時期は季節性の風邪が流行り、アレルギー症状も悪化しやすい。
それにプラスして、今年はインフルエンザが早い時期から流行している。

両親が経営するこの小児科クリニックは、年末年始休暇に入る病院が多い中、毎年連休を1月半ばにずらして、年末年始は通常診療している特殊な小児科。

救急外来がある大きな病院だけでは間に合わないこの季節。
両親の子供に対する愛情が、このスタンスを生み出した。

折り紙で花や動物を作ったり、絵本を読んだり。
すっかり絵が上手なお姉さんと周知されてるようで、絵を描いてとせがまれることもよくある。

待ち時間1時間超。
さすがに健康な大人でも待ちくたびれる。
体調がよくない子供がじっと我慢できるはずもなく。
抱っこ疲れした保護者の疲労感も見て取れるほど、皆疲れ切った表情だ。

「はぁ~い!今から紙芝居するよ~!」

両親が用意した色んなものが待合室に置かれてあり、その中から紙芝居やペープサートをするのが人気だ。

毎年年末年始はこうやって子供の相手をして過ごす。
自室に籠っていても暇なだけだし。
不破くんは両親がいるアメリカに帰省中。

「岡田あやねちゃん、岡田あやねちゃん」
「あやねちゃんいますか?番が来たよ~?」
「は~い」

看護師の呼び出しを伝えるのも大事な仕事。
紙芝居やペープサートに夢中になって、看護師の呼びかけが聞こえない子も多いから。