彼の素顔は甘くて危険すぎる


「ん」
「え、えぇっ、……もうっ」

この手、意外と使えるらしい。
彼女はブーブー文句言いながらも、最後はほっぺにチューしてくれた。

突き放すことも出来るだろうし、暴言吐くことだって出来るだろうに。
本当に心がまっさらな子なんだと改めて実感。

しかも、チューした後もめっちゃ可愛い。
両手で顔を覆って、俺の胸に埋もれてる。
こういう恥じらう姿が見たかったっての。
ちゃんと俺のことを意識してますって言ってるようなもんだし。

「あ、電車来た」
「無理ぃ~~~っ」
「んじゃあ、もう一本あとので」

頬が火照って電車に乗れないらしい。
これはこれで美味しすぎる。
このまま時間が止まってくれればいいのに。

数分して、次の電車が到着した。

「来たぞ」
「……ん」

ゆっくりと顔を上げた彼女は、まだほんのりと顔を赤らめていて、周りにいる人の視線が気になるようだ。
そんな彼女の手をしっかりと握り、電車に乗り込み、ドア部分の隅に彼女を立たせた。

通勤ラッシュの時間帯にプラスして、クリスマス・イヴの夕方ということもあり、電車は思ってた以上に混み合っている。

「平気か?」
「……ん」

彼女を覆うように立ってガードする。
背の低い彼女の顔に、サラリーマンの鞄の金具が当たったら大変だ。
一度あることは二度あると言うし。
ドアに手をついて彼女をじっと見つめて……。

***

以前は自宅の最寄り駅で下車する際に分かれていたが、今は彼女が自宅に入るまで不安で堪らない。
変な男に付き纏われないか。

だから、彼女の自宅がある小児科クリニックの入口まで送り届けた。