彼の素顔は甘くて危険すぎる


「えっ、ちょっ……」
「これなら、寒くないだろ」
「もうっ、誰かに見られちゃうからッ……」
「見られなかったらいいってこと?」
「へ?……え、違うってッ!」

俺のコートで彼女をすっぽりと包み込む。
手は繋げないけど、この方がイチャつき度が倍増しになるし。

おっ、何だいい顔出来んじゃん。
これって望みはあると取ってもいいよな?

俺のコートの中の彼女は紅潮して目が完全に泳いでいる。
それも、ちゃんと俺を意識して俺から視線を外してる。

コートの襟を立てて、周りにいる奴らに彼女の表情が見えないように隠す。
この顔は俺だけが知ってればいい。
他の奴らに見せて堪るか。

完全に視界を塞がれた彼女は俺のコートの中で僅かに顔を上げた。

「もう寒くないからっ」
「俺が寒いの」
「っ……」

逃がすもんか。
やっと意識したのに……。

「クリスマスプレゼント、今ちょーだい」
「えっ?!……何もないよ?」
「あるじゃん」
「どこに?」
「……ん」
「………え」

俺はあからさまに分かるように彼女の口元に自分の頬を寄せた。
ここに『チューちょーだい』と言わんばかりに。

「無理」
「早く~」
「無理だってばっ」
「何で?」
「誰かに見られるじゃん」
「見えねぇだろ、完全に隠してるもん」
「っ……」
「ほら~、は~や~くぅ~~」
「えぇ~っ」

駅のホームの結構端にある大きな柱の陰。
風よけでその場にいる俺らに気付いてる人は数人いるかいないか。
しかも、その数人は友人同士で話をしてて、こちらに視線を向けてない。