(ひまり視点)
不破くんと密談をして、彼を描く許可を貰った。
しかも、制限なしのオプション付きで。
ダメもとで言ってみたら、思いのほかすんなりと受け入れられてしまった。
人に見られるのが嫌いな彼なのに、私がじーっと見てもいいのかな?
許可を貰ったのに、未だに半信半疑。
でも、二科展だけじゃなく、他の美術展にも出したいから、少しでも作品を仕上げたい。
学校での不破くんなら、既に飽きるほど描き貯めてある。
毎日のように絶対視感でロックオンした彼を脳内にインプットし、帰宅してそれをアウトプットする日々を三か月もしてるから。
本当はそれだけでも十分なんだけど。
でも、ギターだけじゃなくて、他の楽器を演奏してる所とか。
この前みたいに歌を唄う姿を描きたくて。
この手が、描かせてくれ~とうずうずしてる。
***
翌朝8時10分。
いつも通り、私と彼しかいない教室で切り出した。
「あの、不破くん」
「ん?」
「早速なんだけど、今日の放課後って空いてる?」
「……ん」
「じゃあ、描かせて貰いたいんだけど」
「いいよ」
「………どこで?」
「どこがいいの?」
「どこでも」
「じゃあ、俺んちで」
「はい」
「場所覚えてるよな?」
「うん」
「じゃあ、来る時に連絡して」
「はい」
うわぁ~、とんとん拍子にOK貰えたよ。
あ、そうだ!一応聞いておこうかな。
「せっかくだから、ご飯作ろうか?」
「え?」
「夕ご飯」
「いいの?」
「大したもの作れないけど、適当でよければ」
「ラッキー!マジ助かる」
「料理しないの?」
「出来ない」
「あ、……そっか」



