帰りがけに買った材料でケーキを作り始めたひまり。
鼻歌交じりで楽しそうに作っている。
『クリスマスは特別なことはしないでおこう』
彼女とそう決めた。
負担をかけたくないというのもあるけれど、毎日が記念日だと思えるから。
この前みたいに『クリスマス』だからと暴走したら、俺の理性がもたないと思って。
それじゃなくても、明後日には一緒にロスに行くことになってるし。
そしたら、朝から晩までずっと一緒にいられるから。
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ケーキが焼きあがるまでの間に夕食も作っている彼女。
いつもは邪魔をしないようにしているが、今日ばかりは手伝おうとキッチンへと。
「洗い物でもしようか?」
「え、大丈夫だよ?」
「たまにはこれくらいしないとな」
「ホントにいいのに……」
パスタを茹でてる彼女の脇でシンクにある調理器具を洗い始める。
料理が全く出来ないわけじゃない。
ただ、あえてしないだけ。
指先を怪我したら、演奏が出来なくなるから。
「あ、そうだ。キーケース届いてるよ」
「ホント?」
「ん」
ひまりと相談して、文字入れをオリジナルでオーダーした品。
色違いで購入したものが、宅配ボックスに入っていた。
「ドレス、どういうのにしたの?」
「どういうの……、うーんとねぇ、桜色で前は膝丈くらいの長さなんだけど、後ろが少し長めになってるアシンメトリーのデザインで。肩紐部分はパールがあしらわれてて、背中が少し開いてる感じ?で、通じる?絵、描こうか?」
「えっ、……背中が開いてんの?」
「うん。ママが胸元が開いてるより背中が開いてる方が綺麗だって言うから」
「っ……」



