(不破視点)
終業式の日。
下校途中で突然ひまりにキスされた。
ほっぺにチュッと触れるだけのキスだけど。
路上で、しかも校門からそれほど離れてない距離なのに。
最近、ひまりの様子がおかしい。
俺の家に泊まりに来て以来、何だろう?
恋に背伸びをしてるのか。
それとも、初めての恋に全力投球してるのか。
ホームベースに向かって走ってくれているから、まだ安心なんだけど。
このちょっとした暴走的な流れが、違う方向に向かわなきゃいいなと思いつつ。
彼女の気持ちをちゃんと受け取るようにして。
恋に奥手なひまりが、こうして行動に表すには相当の勇気と努力がいると思うから。
そんな彼女が堪らなく愛おしく感じる。
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ワンコインで食べられるオムライス屋さんのランチで昼食を済ませ、ひまりを連れて自宅へと帰宅する。
「お邪魔しまーす」
毎日のように訪れているのに、未だに『お邪魔します』と礼儀正しく口にする彼女。
そこが、前の彼女との大きな違い。
前の彼女ローサは、数回自宅に上がらせたら、自分の家のようにぞんざいな行動が目に余って。
人と関わるのが苦手な俺は、別れを告げることも面倒で、ズルズルと付き合ってしまって。
結局は、俺の態度に煮え切らなかった彼女が浮気して、それが決定打で別れられたけど。
あのまま、付き合ってたらどうなっていただろう?
考えるだけで恐怖を感じる。
それと比べて、ひまりは文句のつけようがない。
たまにド天然を発動するけど、それもまた可愛さの一つだと思える。



