彼の素顔は甘くて危険すぎる


12月24日、終業式。
半日で学校が終了し、校門前に何台もの車が列を成している横を彼と肩を並べて通りすがる。
早いものであれから1年が経ってしまった。

去年の今日。
彼と一緒に同じ光景を目にして、彼が所属している事務所へと行ったのが昨日の出来事のようで。
あの日初めて、彼が本物の『SëI』だと目の当たりにした日。

彼と済む世界が違うと突きつけられた日でもあるのに。
今はその世界の片隅に私も立たせて貰うまでになった。
たった1年しか経ってないのに。

「ひまり、何食べる?」
「……聖くんっ」
「え……」

いつも同じ質問を私がして、彼が答えるのと同じように返してみた。
案の定、私から返って来るとは思いもしなかったようで、唖然としてる。

「ん?」

手招きして、彼の耳元に顔を近づけて……。
彼は何だろう?と私の口元に顔を寄せた、次の瞬間。

チュッ。
彼の頬にキスをした。
学校から駅までの通学路で。

「っ……ちょっ、ひまりっ」
「なーに?」

悪戯っぽくにかっと笑って誤魔化してみた。

彼が言うように彼に甘えたい。
けれど、それと同じくらい、好きという感情が溢れ出してる。

兄に相談して教わったこと。
『彼が他の女の子に見向きもしないようにするには』という難題。
兄曰く、好きという感情を出し惜しみせずに、素直に気持ちを伝え続けるしかないと。
出し惜しみして、万が一彼が別の子に惹かれてしまったら、絶対後悔するからと。

だから、どんな時でも。
好きだと伝えることにした。

初めての恋は、後悔したくないから。