彼とお揃いのキーケースをクリスマスプレゼントに用意するだけでいいのかな?
彼にはこれまで沢山お世話になってるのに。
やっぱり、何かが足りない気がする。
彼の家からの帰り道。
彼と手を繋ぎながら歩いていて、ふとそんなことを考えていた。
クリスマスケーキは当然作る予定だけど、それ以外にも何か用意しないとだよね。
何がいいかな。
彼は何でも持ってるから、必要なものも欲しそうなものも思い浮かばない。
『ひまり』
彼に欲しいものを聞く度に彼は私の名前を口にする。
冗談だって分かってるけど。
でも、きっと本当は冗談なんかじゃなくて、我慢させてることも分かってる。
大事にされればされるほど、彼の愛情の深さを思い知らされる。
同世代の女の子たちが、恋に悩んでいるのが漸く理解出来るようになった。
一度手放したことがあるからこそ、二度と手放したくないという想いを。
「ん?……どした?」
「不破っ……聖くん、私のどこが好き?」
「何、唐突に」
こういう質問を殆どしたことがない。
だからなのかな。
彼は何だか嬉しそうに握る手をぎゅっと握り返してくれた。
「全部」
「全部って?例えば?」
握られている手を引かれ、もう片方の手で抱き締められた。
ふわっと鼻腔を擽るシトラス系の香り。
彼が愛用するフレグランスの香りを感じて、トクンと胸が跳ねる。
そして、少し身を屈めるみたいに背を丸めた彼は、私の耳元に囁いた。
「キス、して欲しいの?」
「っ……べ、別にそんなんじゃ」
「じゃあ、何?甘えたいんでしょ?」
「っ……」
心を奥を完全に見透かされているようだ。



