(ひまり視点)
12月に入って、期末試験が終わり、あっという間にクリスマスムード一色になった。
街のイルミネーションはもちろんのこと、流れて来るメロディーもクリスマスソング。
不破くんの10枚目のシングルもクリスマスソング。
12月1日に予約販売が開始になった。
しかも、初回出荷枚数70万枚とあって、歴代の記録を軽く塗り替えるほど。
その偉業はメディアでも連日取り上げられ、併せて販売されるファーストアルバムも大注目されている。
そのCDのジャケットや歌詞カードに作品が採用され、華々しいデビュー作となった。
これも全て、不破くんのおかげ。
事務所からサイン会の申し出があったと連絡が来たけれど、あまり乗り気じゃない。
顔出ししたら、一気に名が売れるかもしれないけれど、そのデメリットとして不破くんとの距離が出来たら本末転倒。
別に絵師として活躍したいわけじゃない。
好きな絵が描けて、上手くなれたらそれで満足。
その結果として、何かが残せたらいいなぁ的な、安直な考えしかまだない。
不破くんが『SëI』として活躍してるのとは大違い。
私にはそんな才能無いと思うから。
親の七光りならぬ、不破くんの彼女としての七光りだと思ってる。
だから、絵師として活動するなら、実直にコツコツと頑張ろうと思って。
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年末年始の冬休みの予定を立てるにしても、彼に連れて行ってとは言いづらくて。
両親はすっかりアメリカに行くと思ってるけど。
未だに『一緒に来る?』とは誘われていない。
せっかくだから、教習所にでも通おうかと考え始めていた。



