彼の素顔は甘くて危険すぎる


別に『不破くん』と呼ばれることが嫌なわけじゃない。
だけど、2人で出掛けた時に『不破くん』を連呼されると、正直ちょっとへこむ俺がいる。

周りにいるカップルの連中が下の名前で呼び合ってるのに、俺だけなんか距離感感じるというか。
少しずつその距離感を縮めていければいいかなと思ってる。

(ひじり)くん?ひーくん?アメリカでは何て呼ばれてたの?」
「ロスで?…… Sei だけど?」
「えっ、セイって呼ばれてたの?」
「ん。ひじりって発音し辛いじゃん」
「あ、まぁ、そうだね」
「何、落ち込んでんの?」
「だって、人前でセイと発したらバレそうじゃない」
「ん、まぁ、そうだな」
「呼ぶなら、(ひじり)くん、かなぁ…?」
「ダーリンとかもあんじゃね?」
「えぇ~っ」
「フフッ」
「慣れでついつい不破くんって呼びそうだけど、頑張って聖くんって呼ぶように努力する」
「まぁ、無理すんな」

ポンポンと優しく頭を撫でてやる。
彼女なりに努力はしてくれるらしいから。

「年末年始、ロスに来るか?」
「………いいの?」
「いいに決まってんじゃん」
「誘ってくれないから、無理かな?と思って、教習所の申し込みしようかと思ってたんだけど」
「教習所?」
「うん。車の免許」
「あ、そうか。ひまりは誕生日来てるから、仮免取れたらすぐに路上に出れるしな」
「うん。でも、美大は電車で通うから、取る必要あまりないけどね」

俺の誕生日は2月だから、教習所のことなんて考えてもいなかった。
そういうことも考える歳だよな。