「社長から、公開するならサイン会の提案が来てるって」
「サイン会?……俺、それ聞いてない」
「さっきのお昼休みにメールが届いててね。予約分だけでも話題性十分だから、CDショップでの限定サイン会ってのを、CDショップ側からの提案で申し入れがあったらしいの」
「へぇ~」
「でもさ、一度顔出ししたら、どこ行くにも人の目が気になるような気がして。こうして不破くんと出歩くのもし辛くなるなら、非公開の方がいいかなと思って」
「……だな」
「だよね。……やっぱり、断ろうっと」
「有名になりたいなら、顔出しもアリだと思うけど、こればかりは何とも言えない」
「顔出ししてなくても、超有名人、知ってる♪」
「フフッ、そんな奴いるんだ」
「いるよ♪」
にっこりと眩しいほどの笑顔を見せるひまり。
社長は売り上げのことを最優先に考えて言っただろうけど。
ひまりの絵師としての活躍はこれからだと思うから。
最初から顔出ししなくても十分な気がする。
それに、こんな風にひまりとラブラブしながら出掛けることも出来なくなるなら、断固反対したい。
俺だけのひまりであって欲しいから。
「クリスマスまではいるんだよね?……日本に」
「ん」
「じゃあ、クリスマスデートは出来るね♪」
「俺、ひまりの手作りケーキ食べたい」
「ケーキ?いいよ~、どんなケーキ?」
「ここら辺にチョコレート塗ったくってるやつ」
「何それ……」
ひまりの口を中心に弧を描くように指先でぐるりと。
それが何を意味しているのか、分かったようだ。



