彼の素顔は甘くて危険すぎる


(不破視点)

ひまりが午後2時過ぎにやって来た。
けれど、様子がおかしいというか。
何故か、キャリーケース持参でやって来た。

デジャヴ?
そう思わせる雰囲気を漂わせ、彼女はキッチンでコップ1杯の水を一気飲みした。

『合格祝いのパーティーをしよう♪』と昨日約束はしたけれど。
まさか、仮装パーティーでもするつもりだろうか?

俺の誕生日の時に彼女は今日と同じにキャリーケース持参でやって来た。
そのケースの中には、プレゼントの他に大量のコスプレ衣装が入っていて。
誕生祝いだと言いながら、メイドの格好をして喜ばせてくれたっけ。

彼女が考えること……。
今日は斜め上辺りの路線で行くらしい。

ホント、飽きさせないよな。

見た目もさることながら、性格も可愛くて。
その上、俺をこうして虜にするほど天然なところがめっちゃ好き。

見てて飽きないし、余ることなく隅々まで堪能したい。
そう思わせる子。

リビングのソファーに座って待っていると、彼女は視線を泳がせながら隣に座った。
何やら始まるらしい。
楽しみで仕方ない。

「夕食何にしようか」
「……え?」
「夕ご飯、何にする?」

何か、余興的なものが始まるのかと思ったら、いつも通りの会話。
特別なことを期待してたわけじゃないけど、何だか調子狂う。

「どこかに食べに行く?それとも、デリバリー取るとか?」
「あ、じゃあ、ピザにしようよっ!久しく食べてない!」
「ん、宅配ピザな」
「やったぁ♪」

ひまりは嬉しそうに手を叩いた。