彼の素顔は甘くて危険すぎる


10分ほど冷やしてみたが、特に変わった様子もなく。
痛みも殆どない。
付着してる患部を触れば、多少は痛むけど、大した痛みは無いようだ。

「すぐ出かけるのか?」
「うん」
「気を付けてね」
「はぁ~い」
「ご両親にも宜しくお伝えしてね?」
「分かってるって」

昼食を摂ってる両親をダイニングに残して、3階の自室へと上がった。

既に出掛ける準備は出来ている。
姿見の前で耳元をチェックして笑みが零れた。

ホールが出来るまで1カ月くらいかかるらしく、その後に彼から貰ったお揃いのピアスをする予定。
今はまだ、ピアッサーで着けたもので我慢我慢。

用意しておいた荷物を手にして、部屋を後にした。

土曜日の午後1時半過ぎ。
11月中旬という事もあって、風は冷たいけれど、晴れていてかっこうのお出かけ日和。

私は軽い足取りで駅へと向かった。

**

ピンポーンッ。

見慣れた玄関ドア。
聞き慣れたチャイムの音。
そして……。

「はい」

超絶カッコいい私だけの王子様が出迎えてくれる。

「何、その荷物」
「これ……?」
「家出?」
「まさか」
「引っ越し?」
「そんなわけないでしょ」
「じゃあ、……何?」
「エヘヘッ」
「デジャヴ??」
「……そうかも♪」
「マジか」
「フフッ、お邪魔します」
「どうぞ~」

不破くんの家に来たけれど、ただ単に遊びに来たわけじゃない。
だって、今日は……。

リビングに荷物を置いて、フゥ~と一呼吸。
だって、緊張しすぎて動悸がヤバいんだもん。

「お水、貰っていい?」
「どうぞ」

乾いた喉を潤す為にキッチンへと向かった。