その後も、体を近づけ、テーブルに頬杖をついて恋人を演出するみたいな素振りを見せる。
あぁ~もうっ、勘違いさせちゃうじゃない!
ヒヤヒヤして、どうしていいのか分からずにいると。
急に演奏がピタリと止まった。
そして、すぐさま彼からLINEが届く。
『浮気したら、ただじゃおかねぇ』
ギャァアァァァ~~ッ!!
やっぱりピアノを演奏してるの、不破くんだよ!!
何でいるの?!
どうしてピアノを演奏してるの?!
何故、声をかけて来ないで様子を見てるの?!
焦る私はまともな思考が働かず、返信する言葉を打つことすら出来ずにいると。
『既読スルー?』
『浮気って、認めるんだ』
『お仕置きするから、覚悟しろ』
ヒョエェェェ~~!!
怖すぎる~~~!
アーロン氏は、私のスマホの画面を撮って、翻訳して……。
クスクスと楽しそうに笑い出した。
そして、『可愛い彼氏だね』と。
可愛い?
恐ろしいの間違いでしょ?
再びブンブンブンッと顔を横に振ると。
『愛されてる証拠だよ』だって。
そりゃあ、愛情は常々感じてるけど。
最近、それが急加速してる気がして。
私の手に負えない獰猛な黒豹に変身する確率が俄然アップしたのは言うまでもないんだけど。
あー、神様。
どうか、清らかな乙女にご慈悲を。
半泣き状態の私は、涙目でアーロン氏に懇願する。
『そろそろ彼と話させて』と。
アーロン氏は振り返り、分かるように手招きした。
……ピアノの演奏者に向けて。
すると、ブラックデニムに白いTシャツ、グレーのジャケットを羽織った人物がこちらへと優雅に歩いて来た。



