彼の素顔は甘くて危険すぎる


浴槽の縁に彼女を座らせ、シャワーのボタンを押す。

「で、何すればいいの?」
「適当に」
「は?」
「髪を洗うとか、ただ湯に打たれるとか、嫌なことを払拭したくて無になってるとか?」
「描きたいポーズがあるわけじゃないんだ?」
「うん」

話を聞くと、『水』がテーマの公募に応募したいらしい。
噴水や海、川、湖、水溜まりなどは、よくあるモチーフだから、他の人と被らないようにシャワーをしてる所を切り取りたいらしい。
とりあえず、適当にシャワーしてればいいという。

すぐ近くから彼女の視線があるというだけで、いつもと同じことをしていてもやっぱり違う。
無意識に緊張するし、満たされもする。

「ん~♪フッ~ンッ~~♪♬」
「その曲、好き」

自身の曲を鼻歌で口ずさむと、彼女が嬉しそうにしているのが鏡越しに見えた。

「キャッ!……ちょっ、……ゃっ」

15分以上シャワーを浴びて飽きて来たこともあり、シャワーヘッドの角度を変え、彼女に湯を見舞う。
すると、驚いた彼女は顔を背けて声を上げた。
そんな仕草も可愛くて、戯れるようにいたずらして……。

浴槽の縁から立ち上がった彼女を捕まえた。

濡れた素肌が直に触れ合う。
両腕の中に閉じ込めた彼女は驚いた表情で俺を見上げた。

黒々とした大きな瞳。
濡れた髪。
ぎゅっと握られた両手。
白い水着に収まりきらない豊かな胸。

そのどれもが俺の欲情を掻き立てるには十分で。

シャワーの湯で濡れた唇にキスをする。
それと、普段は触れることが出来ない素肌に指を這わせて……。