彼の素顔は甘くて危険すぎる


いつだって、求めているのは俺の方。
彼女が求めてることなんて、求めたうちに入りもしないほどささやかで。
そんなこと、言われなくてもいつだってしてやるのに。

ひまりはあまりにも控えめすぎる。
もっともっと我が儘言って、俺を困らせたって構わないのに。
本当に良い子ちゃんすぎる。

「思い立った時でいいから」
「………じゃあ」
「ん?………何かあるのか?」
「………ダメだって言わない?」
「内容にもよるけど、大抵のことなら大丈夫だと思うけど」

ひまりは恥ずかしそうに身じろぎながら、視線を泳がせている。
何だろう?
そんなにも言い出し難いことなのだろうか?

「あのね」
「……ん」
「シャワーしてるところ、……描かせて」
「………は?」
「だから、……シャワーしてるところ、描かせて欲しいんだけど」
「シャワーって、風呂の、だよな?」
「………ん」

くりっとした瞳に俺が映る。

この小さな口から、『シャワーしてるところ』って聴こえたんだけど。
俺の聴き間違いではなさそうだけど。
それにしても、初めて、一瞬だけど俺が躊躇するようなことを口にした。

「全裸で?」
「あ、いや、……水着着てても大丈夫。上半身だけ描きたいだけだから」
「フッ、……別に全裸でも俺は構わないけど?」
「え?」

キッチンでミネラルウォーターを口にした俺は、空のボトルをキッチン台に置き、隣にいる彼女を壁へと追い込む。

「シャワー流してたら濡れて描けないよな?」
「……ん」
「後で描くってこと?」
「……ん」
「じゃあ、一緒にシャワー浴びよ」
「……へ?」
「水着でいいんでしょ?」
「っ……」