彼の素顔は甘くて危険すぎる


「えっ、どういうこと?」
「だから、日美展は準大賞で、女流画家協会展は女流優秀賞、光陽展は審査員特別賞を受賞したの」
「……で、二科展がパリ賞だっけ?」
「うん」
「何で分かった時点で言わないんだよ」
「興味無いかと思って……」
「んなわけねぇだろっ」
「……ごめんね」
「俺が何かの賞取っても気にならねーの?」
「そりゃあ、気になるよ。直ぐにトップニュースになるから」
「そういう問題じゃねーよっ」

会話になってんだか、なってねぇんだか、よくわからねぇ。
俺はひまりの全てを知りたいと思うし、何でも1番に教えて欲しいと思ってしまう。

独占欲が強いのは自分でも分かってる。
一度手に入れたものは誰にも奪われたく無いし、気に入った物はどんな手を使っても手に入れたいと思ってしまう。

けれど、ひまりは俺が彼女を求めてるほどの熱量を俺には求めて無いのだろう。
だから、こうしていつも彼女との温度差を感じてしまう。

寝ても覚めても俺だけを考えて脳内を埋め尽くして欲しいのに。

頭を冷やす為にブースから出て、冷蔵庫から冷えた水を取り出し、一気に飲み干した。

分かってる。
彼女に求めたところで、俺が満足できるようなほど愛情を態度に示して貰うのは無理なことくらい。
結局は、惚れた方が全てを受け入れるしかないってことくらい。

恋愛初心者で古風すぎる彼女を好きになったのだから、俺が彼女に合わせるのが一番なことくらい、理解している。

「欲しいモノとか、して欲しいことがあれば、言って」
「別に……」