(ひまり視点)
ゲストルームに通された私は、荷物を解く。
ホテルに宿泊するなら部屋着は何でもいいけど、彼の自宅に泊まるならやっぱりちゃんとした服じゃないとまずいよね。
こういうことを予想してたのかな。
母親がチョイスした服がかなり役に立ちそうだ。
コンコンコンッ。
「はい、どうぞ」
部屋のドアがノックされた。
「今いい?」
「うん」
キャリーケース全開だけど、別に見られて困るものは無さそう。
彼を部屋に招き入れて、ベッドに腰かける。
「ちょっと散歩に行かない?」
「散歩?……うん、いいけど」
「ん」
彼が手を差し出して来た。
私はその手を掴めばいいらしい。
小さなポシェットに財布とスマホとハンカチを入れて、彼の手を掴んだ。
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彼の家から少し歩くと、海が見えた。
月に照らされた海は幻想的で、風が少し強いこともあり、白波が立ってる。
海沿いのお店の灯りを頼りに、ビーチを二人で歩いていると。
「これ、誕生日プレゼント」
「……ありがとっ」
これはデジャヴ?
同じようなシチュエーションを記憶してるんだけど?
小さな箱にリボンがかけられている。
手乗りサイズのそれは、世間で言うジュエリーボックスというやつだ。
それを恐る恐る手に取って、視線を持ち上げる。
「開けないの?」
「ビックリ箱とかじゃないよね?」
「フッ、まさか」
「だよね」
コメディーであるような展開ではないらしい。
砂浜に座り、それを開ける。
「あっ……」
「欲しがってたやつ……だよな?」
「うん!!」
箱の中には、彼が着けてるのと同じのオニキスのピアスが入っていた。



