彼の素顔は甘くて危険すぎる


以前、庭にバーベキューをする為の一角があると言ってたから、このお宅かな?とフェンス越しにちょっと覗き込んだ、その時。
その家の玄関から、1人の男性が飛び出して来た。

「あっ……」

1週間ぶりに見た彼は、相変わらずイケメンで。
ロス仕様なのか、ハーフパンツにTシャツにビーチサンダルを合わせた出で立ち。
髪は片方だけピンで留められてて、初めて会った時のイケメンバンドマン風のヘアスタイル。
しかも、日本ではあまり見せない、黒いピアスまでしている。

「ひまりっ!!」
「ハロ~♪」
「ハロ~じゃないだろっ!来るなら来るって言えよ!!」
「……怒ってるの?」

喜んでくれるのかと思ってたら、めっちゃ怖い顔してるよ。
思わず固まってしまった。

通りに出て来た彼は、無言で抱き締めた。

「海外は日本と違って危険なんだから、1人でふらふら歩いたら危ないだろっ」
「私、……子供じゃないよ?」
「んなことを言ってんじゃねぇって」
「じゃあ、何で怒ってるの?」

ぎゅっと抱き締められるのは嬉しいけど、怒られるとは思ってもみなくて。
ロスまで来たのは迷惑だったのかな?

「来たの、迷惑?」
「それはない」
「じゃあ、何で……」

はぁ~と大きな溜息を吐いた彼は、ゆっくりと腕を解く。

「変な男に連れて行かれたり、無理やりナンパされたりしたら困るだろ」

あ、心配してくれたんだ。
彼女として扱われたことが嬉しくて、ぎゅっと抱きつく。

「だって、逢いたかったんだもんっ」

行動力のない私が、初めて海外に、それも1人で挑戦しようと思ったのだって、全部彼のため。
ううん、自分のためなんだけど、その原動力こそが今目の前にいる彼だ。