彼の素顔は甘くて危険すぎる


ドラムやベースを弾いてたりすると、音が爆音で着信音が聴こえないことが多い。
だから、着信した際の画面が視界に入れば、何とか気付けるらしくて。

スマホアプリで地図を立ち上げ、住所を入力。
そして、モバイルバッテリーもバッグに入れて、手土産も忘れずに持って……。

距離にして1キロちょっとらしい。
真夏の日差しが強くて、麦わら帽子がないとクラクラしそう。
日焼け止めクリームを塗ってホテルを出たけど、それでもじりじりと焼けてる感じは否めない。

出来るだけ日陰を選んでアプリに従って進んでいると。
通りに可愛らしいアイス屋さんを発見。
だけど、物凄い混んでて、それに並ぶ勇気はない。

楽しそうに会話しながら順番待ちをしているカップルを横目にさらに先を急いだ。

映画で観るような景色が並ぶ。
海沿いのロードにヤシの木。
青い空と海風に靡く女の子の長い髪。
視界に入る全てが外国語表記で、胸が弾む。

ゆっくり歩きながら景色を楽しんで、20分ちょっとで目的地周辺に到着したらしい。

日本と違って分かりやすい表札がないから、どの家がそうなのかが分からない。
似たような建物が並ぶ。

仕方なく、不破くんに電話をかけることにした。
すると、コール2回で彼が出た。

「はい」
「今どこ?」
「家」
「どんなお(うち)?」
「え?」
「屋根の形は?犬飼ってる?フェンスに白い花を飾ってたりする?」
「………え……」

スマホを耳に当てたまま、4~5軒の家の前でどの家だろう?とウロウロしてた、その時。
ファーンッ!というクラクションの音が近くで響いた。

「えっ、今ロスにいんの?」
「……どうだろ?」

バレたらしい。
耳のいい彼が、クラクションの音を聴き逃すはずはなく……。