彼の言葉通り少し待つと、ドラムっぽい音がスピーカーから聞こえて来た。
「どう?聴こえた?」
「うん、聴こえた。結構激しめだね」
「そそ」
「もしかして、それが選ばれし者?」
「……ん、一部だけどな、まだ」
なるほど。
私が思い描いてたモノとはだいぶ違うのがよく分かる。
だから、幾つも描いても採用されないのか。
「さっきのやつ、直に聴きたい」
「日本に帰ったら聴かせてやるよ」
「えぇ~っ、今日がいい」
「今日って、無理があんだろっ」
「えぇぇぇ~っ、今日がいい今日がいい今日がいい!!」
「無茶言うなって」
電話の声がいつもの彼でホッとする。
少しかったるそうで、でもちゃんと私の言葉を聞いててくれて。
そして、しょうがねぇやつだなぁ的な受け流す感じが。
「今どこにいるの?家?」
「ん」
「ロスのどこら辺?ご両親の会社と同じ建物?」
「ん?……いや、違うけど。何、気になんの?」
「うん、気になる」
ご両親の事務所の場所はネットで調べたから知ってる。
彼の自宅の住所も知ってる。
40日以上会えないから、手紙でも書くと言って教わってある。
まぁ、それは口実でなんだけど。
彼の家から程近いホテルにしてあるため、歩いて行ける距離のはず。
自宅の前に到着したら、電話をかけて驚かそうかな。
本当は迎えに来て貰うつもりだったけど。
ちょっとした好奇心が湧いてきた。
「あ、ごめんねっ。ちょっと席外すから、またかけ直すね」
「ん」
「ちゃんとスマホ近くに置いておいてよ?」
「分かってるって」



