ひまりは契約書をペラペラと捲り、ある程度の内容は把握したようだ。
その上での質問。
「正式に曲としてリリースされれば、それに関するライセンス料は明確になる。要するに売れた数量に比例するからね」
「……はい」
「不明確なのは、リリースされる前の段階。曲として既に使用する意向がある場合は、それにもライセンス料が発生するんだけれど、売り上げに比例するわけじゃないから、マージンではなく、著作権のようなもので」
「……はい」
「不破の人気に比例する形で、ライセンス料の基本料金のようなものを設定したいと考えてます」
「それは、まだ世に出てない曲に使われてるかもしれない的な状態でもですか?」
「そういうこと。不破が使うと決めた時点で発生すると記されてるから、そこは安心していいからね」
「……何だか、物凄く魅力的ですけど、デメリットって何ですか?先ほど仰られたように、専属契約する上での制限だけでしょうか?」
「う~ん、そうだなぁ。あるとすれば、依頼して仕上げて貰うまでの期日が、多少早まる恐れがあるくらい?一応、前もってどれくらいで仕上がるか、確認した上で話は進めるつもりだけど、万が一、期日が早まった場合は、間に合うように努力する義務が発生するかな」
「……なるほど」
「それでも、期日までに仕上がらない場合は、納期を延長することもできるから、必ずしも絶対ではないよ」
「……はい」
ひまりには難しい話だってのは分かってる。
俺が事務所と契約する時でさえ、弁護士の両親が立ち会ったくらいだから。
「これをご自宅に持ち帰って、ご両親と話し合ってみて下さい。その上で、改めてご両親立ち会いの下、説明させて頂きますので」
「……分かりました」



