彼の素顔は甘くて危険すぎる


ひまりが描いた作品からインスピレーションを得て、既に新曲を書き始めてる。
まだ正式に曲が出来上がってるわけじゃないけど、一日も早く契約を結ばせたい。

「それと、不破から聞いてるんだけど、イラストのサイトでも活動してるんだって?」
「……ダメですか?」
「あ、いやそれは不破との交渉次第かな」
「……どういう意味?」

隣りに座る俺に助けを求めて来た。

「例えば、俺が『SëI』として活動するのと同じで、ひまりも特定の作家名で活動するなら、その作家名での活動は契約内になるけど、別の作家名で活動するならそれは契約外になる。……分かる?」
「……何となく」
「グループ活動してるバンドがあって、それで事務所契約してたとして。そのうちのリーダーがソロ活動してCDを出すなら、ソロとして別の契約になるって話」
「なるほど、それなら分かる」
「だけど、曲や歌と違って、絵の世界は振り分けるのは難しくない?タッチを変えたりして別のアーティストとして活動できそう?」
「……どうだろ?」
「要するに、専属契約したら、同一人物だと訴えられることを避けるためにも、活動の場が制限される恐れはあるということを理解して欲しいかな」
「………うん」

酷なことを言ってるのは分かる。
けれど、ファッションデザイナーも同じで。
専属契約したら、それ以外に作品は出せない。

「商業化せずに個展を開くだけとか、美術展に出品するとかなら構わないから」
「……はい」
「どうだろ?」
「質問なんですけど、ライセンス料って?キャンバス画1点につき幾らとかではないですよね?」
「そうだね、気になるよね」