(不破視点)
連休前日に知った事実。
ひまりが成瀬 剣に、俺を餌に脅されているということ。
知ったからにはすぐさま処理しないと、正気を保てそうにない。
すぐさま事務所の社長にメールして、現状を報告した上で対処して欲しい旨を相談した。
ひまりは事務所公認になっている。
事務所と契約する際に希望事項を記入する欄があった。
俺はそれに学業優先、プライベート優先及び要対処、リリーススケジュールも俺から提案する、その他の企画に関しても事前相談なく決めるようなことは一切受け付けない(ドッキリのような企画)と盛り込んである。
だからこそ、ひまりとの時間は俺にとって曲作りと同じように大事なことだ。
うちの事務所は恋愛事情がかなりオープンな方だと思う。
恋愛禁止にしている事務所も多い中、『来栖 湊』という女優のお陰でかなり柔軟な方らしい。
しかも、『恋愛することで曲作りが捗るなら大いに結構』というのが社長の口癖。
そんな社長に現状を報告すると、すぐさま対処するとの返信が来た。
『5月2日の放課後に』という連絡と共に、時間と場所が書かれた地図が送られて来た。
俺はその場所へと向かっていた。
到着した場所は、都内のとある料亭。
16時少し前ということもあり、まだ他のお客はいないようだ。
入り口前に社長ともう一人、スーツを身に纏った男性がいた。
「社長」
「来たか」
隣りにいる男性に視線を向けると、優しい微笑みを向けて来た。
「彼は弁護士の久我君だ」
「久我です」
男の俺が見てもカッコいいと思えるほどのイケメンの彼は、名刺を差し出した。



