彼の素顔は甘くて危険すぎる


ドラマや少女コミックであるような展開だ。
しらを切ったら、それこそエスカレートしそうだし。
突き放すように断れば、それこそ逆上しそうだ。
こういう時って、どうするのが一番いいのか……。

普段使わない頭をフル回転させて、最善の答えを探し出す。
そんな私をいたぶるような視線を向け、楽しむ成瀬くんは冷笑している。

「彼氏とは別れたとしても、成瀬くんとは付き合えない」
「バラされてもいいの?」
「代わりに、別の条件呑むから」
「へぇ~、結構肝据わってんだな」

今の私に出来ることはこれくらいしかない。
視線を降下させて、右手に嵌る指輪に留める。
彼から貰ってまだ1カ月も経ってない。
……経ってないのに。

「じゃあ、俺の衣装のデザイン描いて」
「デザイン?」
「俺の納得するような、デザインだからな」
「………分かった」
「じゃあ、早速今日の放課後からここで」
「え?」
「俺のこと知らないと描けないでしょ?」
「………放課後、ここで……分かった」

振り返ることなく教室へと戻る。
けれど、すぐさま成瀬くんも教室に戻って来た。
居場所がない。
学校にいる間は監視されてると思わなくちゃ。
ううん、登下校も尾行されてるかも。
だとすると、彼のマンションも居場所がバレてるんじゃ?

どうしよう。
全ての可能性があるとすると、暫く不破くんに会わない方がよそうだ。

彼に暫く会えないと連絡を入れた。
すぐさま『いつまで?』と尋ねて来たが、それをやんわりと交わして……。