彼の素顔は甘くて危険すぎる


素足に黒いニーハイソックスを履いて家事をし始めた彼女。
ドラム式洗濯機から洗濯物を取り出す際に、チラッと下着が見えた。
これはこれで美味しいんだけど、抵抗感もなく俺の下着を手にして……。
俺の方が動揺してるって、おかしいだろ。

話を聞くと、誕生日だから一日俺に尽くすという。
いやいや、毎日夕飯作って貰ってるし十分尽くして貰ってるって。

コスプレ衣装も可愛くて目の保養になるけど、俺はいつも通りの清楚なひまりが好き。
変に気負わなくていいし、メイドの格好してると微妙に距離を感じる。

だから、元の服に着替えさせた。
うん、やっぱりこっちの方が俺好みだ。

カボチャっぽい感じのキュロットにモヘアのセーターを合わせてる。
履いて来たショートブーツに合うようにカラータイツを穿いて。
しかも、今日はお団子ヘアーではなく、緩く巻かれた髪がふんわりと下ろされてて。
俺がプレゼントしたピンが、可愛らしく留めてある。

メイド服も併せて衣装を片付けているひまり。
そんな彼女を背後から抱き締めた。

「今日はぎゅーし放題?」
「っ……」

ダメだとは言わない。
嫌だとも言わないところをみると、今日は誕生日ということもあって甘えさせてくれるらしい。

「今、ケーキの生地焼いてるから、乗せるフルーツ買いに行こ?」
「フルーツより、ひまりがいい」
「なっ……ッ……」

冗談で言ってみた。
俺がその気にさせたところで、直ぐにはさせてくれないとは分かってる。
だから、前から少しずつ刷り込んでるところ。

付き合って、キスして、その先もあるってことを。