キャリーケースの半分以上を占める犯人がコレ。
兄から借りた服一式。
「すげぇ……。ひまり、こういう趣味あったんだ」
「え、違うって!兄に相談したら、これが一番効くって持たされたの」
「へぇ~、お兄さん仲良くなれそう」
「え?」
兄に持たされたのは、コスプレ衣装。
大学の飲み会などで使うものらしくて、私が着れそうなものをチョイスして持たされた。
ナース、CA、婦人警官、秘書、仲居、バレリーナ、メイド……。
「何、この袋」
「それは見なくていい」
「何で、……怪しい」
「っ……」
さりげなく隠したつもりが、バレてしまった。
バニーガールの衣装。
さすがに着れない。
「おっ、俺、コレがいい」
「無理っ、絶対ムリ!胸が無さすぎて貧相な感じになるから無理ッ!」
「見てみないと分かんないじゃん」
「……無理なものはムリ~ッ」
「どれどれ……?」
「ッ?!ちょっ、……どこ触ってんのッ!」
「ひまりの胸」
「っ……もうっ」
両手で胸元をタッチして来た。
もうっ、あのエロエロ大魔神のせいだ!
「貧相じゃないと思うけど?」
「っ……」
「ダメ?」
「ダメッ!!」
「ん~じゃあ、コレで我慢する」
「………メイド服かぁ」
無難と言えば無難。
バレリーナの服も無理だと思っていたから、メイド服で助かった気がする。
これなら、中学の時も高1の時も文化祭で着たから抵抗がない。
「じゃあ、これに着替えて準備するから、ゆ~っくり寝てていいよ~」
「ひまりがこれ着るなら寝ててられない」
「え、何で?」
「何でも」
にやりと不敵に微笑んだ彼は、着替えて来る~と言って部屋へと駆けて行った。



