誕生日当日の朝7時。
深夜まで準備に追われていた私は、慌ててシャワーを浴びる。
昨夜ちゃんとお風呂に入ったけど、その後に調理したせいで何となく髪や体からチョコの匂いがしてる気がして。
シャワー後に髪を乾かしセットして、忘れ物が無いか荷物を最終チェックしていると。
「ちゃんと全部持って行けよ?」
「……分かってるって」
「後でどれ選んだか、教えてな」
「………」
朝食を摂り終わった兄が、横から揶揄って来る。
……この荷物の半分以上を占めるものがソレだ。
着替えも済ませて、8時半前に自宅を後にした。
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ピンポーンッ。
「……はい」
「おはよ」
「ッ?!ひまりっ、ってか今何時?」
「9時ちょっと過ぎ?」
「早くね?」
「……と思う」
「………」
寝起きのようだ。
事務所スタッフだと思ったようで、私の姿に動揺してる。
寝起きの彼の声は、思ってた以上に掠れてて。
しかも、普段あまり聞かないような低めの声にドキッとしてしまった。
「何、その荷物。……ここに住んでくれんの?」
「違うよっ。……とりあえず、中に入ってもいい?」
「あ、うん。どうぞ」
結構大きなキャリーケースとそれとは別に大きなビニール袋と。
更にいつも愛用してるリュックを背負って彼の自宅を訪れた。
早朝からキャリーケース持参。
旅行に行くわけでもないのに、さすがにこれは誰でも驚く。
リビングに荷物を下ろし、隣りにいる彼を見上げる。
「まだ寝てていいよ?私、勝手に準備してるから」
「準備?」
「うん、準備♪……あ、でも、服だけ選んで貰いたいんだけど」
「は?……服って?」



