「相手は幾つくらいの人?……年齢にもよるかな」
「同じ歳」
「じゃあ、あまりお金かけずに手間暇かけるのが一番かな。それと、ちゃんと気持ちも添えて」
「気持ち……ねぇ」
「候補って、まさか『キープ』ってことじゃないよな?ひまり、男を天秤にかけてんのかッ?」
「まさかっ!」
「マジ、焦ったじゃん」
「手間暇って?」
「プラン考えたり、手作りなものあげるなら、前々から準備したりさ、そういうこと」
「………ん」
「一番大事なのは、『特別感』だから」
「特別感?」
「そそ。自分だけに、二人だけで、誕生日という日だから、とか」
「あぁ、なるほど」
「相手の好きなものとか、趣味のモノとか、集めてるものとかあれば、それ関係が無難かな」
「……難しいね」
「当たり前じゃん。だからこそ、特別なんだって」
「で、お兄ちゃんなら瑞月さん(兄の彼女)に何して貰いたいの?」
「それ聞いて、お前出来んの?」
「え?」
急に兄の態度が変わった。
いつもはふざけてるけど、歳が離れてる分、結構甘やかしてくれる。
ここぞの時はいつだって何でもしてくれる兄が、ちょっと試すみたいな視線を向けて来た。
「内容にもよるけど、出来ることなら……だと思うけど」
「ふぅ~ん」
「……で、何なの?」
「裸にエプロン、混雑してる街中でも飛びついてキス、ぶどうとかさくらんぼとか口に入れ易いものを口移しで」
「なっ……」
「ほら、言ったじゃん。聞いたって、お前には無理なんだよ」
「………」
忘れてた。
兄がエロエロ大魔神だったことを。
「ま、ひまりなりの努力は多分通じると思うぞ」
「………うん」



