お風呂あがり、リビングに入ると先にお風呂に入った彼女がニマニマしながらテレビを見ていた。
彼女がこんな顔で映像を見てる時はだいたい想像がつく。

「今日は何見てるの?」
『あ、おかえり』

今日はね、と彼女が指さした画面を見ると、予想通
り。何度目か分からない過去に放送された冠番組を見ていた。

『いやもう⋯尊い』
「また〜?」

うちの彼女は、うちのグループの青色担当“蒼くん”のファン。
知ってて付き合い始めたし、初めは気にしてなかったけど、
何か段々面白くなくなってきた。

「ねぇ蒼と僕とどっちの方が好きなの〜」

彼女の後ろからしがみつく様に引っつけば、回した腕をぽんぽんと撫でながら
彼女はやっぱりテレビの中の青色に夢中。

『好きなのは舞斗だけどさぁ、推しはまた別だもん』

大きな石や葉っぱにはしゃぐ先輩を見てキャッキャと喜んでいる。……彼女の方がよっぽど子供、だろうか。

『いいなぁ毎日こんな人達と仕事できて』

会いたくないけど会いたい、なんて言っている。
佐倉くんもだけど、ヲタクと呼ばれる人達の言っていることはたまによく分からない。
失礼かもだし本人には言えないけど……。

「画面の中の推しより、目の前の彼氏見てよ」

我慢できなくなって、彼女の目を塞いで、項に自分の唇を這わせれば

『ちょっ、ぁ、!』

と声が漏れる。

「泉ちゃんが悪いよね?妬かせてくるんだもん」

空いている手でテレビを消して、そのままパジャマに手を入れてホックを外す。
しがみついていた体を離して床へ彼女を押し倒した。

「ベッド行きたい?ここがいい?」
『どこでそんなの覚えてきたの、』

そう言った彼女の顔は既に蕩けている。

「どこだろうね?」

する、と脚の内側を下からなぞっていくと、

『〜っ、!ベッド、いくっ』

耐えきれなくなった彼女からの、意外と早い降参の合図。

「……蒼より僕のがいいって思わせてあげるからね」

にっこりと笑って彼女を抱えあげた。