瀬戸先輩がまたバスケが出来るようになって良かった……。
「百合さん」
「大瀬戸のおじさん……!」
ほっとしていたら、大瀬戸のおじさんが私に声をかけてきた。
直接話すのは、お母さんのお葬式以来だ。
私はお父さんがいなかったけれど、いたらこんな感じだったのかな?
そんな優しい風貌の人。
見知らぬ私にも親身になってくれて……。
血の繋がらない息子の瀬戸先輩のことを大事にしてるのが伝わってくる。
「本当に君は、明日香によく似たね」
懐かしそうに話しかけてきた。
明日香っていうのは、私のお母さんの名前だ。
「そういえば、大瀬戸のおじさんは、お母さんのお知り合いなんですか? お見舞いにもよく来てくださっていましたし……」
「ああ、そうだよ。旧い友人なんだ。学生時代、私がバスケットプレイヤーだった時に、明日香がマネージャーをしてくれてたんだ」
なんだろう?
どこかでそんな話を聞いたような……?
どこだったけ?
うまく思い出せないけど……。
そんな中――。
「じゃあ、また私は海外に戻るとするよ。瀬戸を頼んだよ」
「はい! 家政婦さんとして頑張ります!」
「ん? 家政婦さん……?」
大瀬戸のおじさんが、とっても不思議そうな顔をした。
あれれ?
もしかして、解雇とか……?
どうしよう、行く当てがなくなっちゃう……!
「ええっと、おじさん! ただの家政婦さんじゃなくてですね! びっくりするぐらい最強の家政婦さんを目指しますから!」
ふと、大瀬戸のおじさんの顔を見たら――。
「ひええっ……!」
めっちゃ怖い顔してる……!
瀬戸先輩の険しい表情に激似!
っていうか迫力ありすぎて、おじさんの方が10倍ぐらい怖いんですけど……!
血の繋がりはないけれど、この人達、間違いなく親子だよ……!
「……明日香の娘を……大事な大事な一人娘を……わざわざ家政婦にするはずがないだろう……?」
なんだろう、私の勘だけど……。
大瀬戸のおじさんは、徳川家康みたいな人だと思う。
うん、間違いない……!
「あ、あの……だとしたら、私はいったいぜんたい、何なのでしょうか?」
すると、思いがけない返事があった。
「それは、もちろん百合さんはね――」
ヒソヒソと話しかけられた内容を聞いて、私は――。
「ええええっ……!??」
バスケ中の瀬戸先輩がびっくりして、こちらを振り返ってきたのだった。


