こわモテ男子と激あま婚!?



 ジュースを2人で飲んで、公園の影で涼んだ。
 もうすっかり暗くなってしまっている。
 瀬戸先輩が缶をベンチにコトリと置いた。

「今日はわりと充実してたな……まあ驚きもしたが……」

「え?」

「お前がバスケ教えろって言うからさ」

「教えてもらえて嬉しかったです。やっぱり、バスケのことに夢中になってる先輩のことが……」

 そこまで伝えようとして――私はハッとなった。

「いいえ、その……あの……」

 1人で勝手にモジモジしていたら――。

「元気出たよ、ありがとうな……」

「あ……」

 少しだけ寂しそうに瀬戸先輩は笑いかけてくるものだから、胸がきゅうっと疼いた。
 2人の間に沈黙が落ちる。
 
 先輩にどうしてバスケを辞めたのか、聞いてもいいのかな……?

 だけど、それはさすがに踏み込みすぎ……?

 ぐるぐる1人で悩んでいたら……。


「なあ、お前……」

 瀬戸先輩が声をかけてきた。

「はい……なんでしょうか?」

「今まで推してきたやつのバスケを辞めた理由……しょうもなかったら、どうする……?」

「え……?」

 彼はふっと遠くを見つめた。

「俺のことじゃあない。お前のセト君の話だ」

 この言い回しは……。
 もしかして、瀬戸先輩も自分がセトくんだって……。

「自分勝手な理由で辞めたんだったら、ああ、なんだ自己中だなって、がっかりするんじゃないかって……」

 一瞬考えあぐねたけれど……。

「その……!」

 瀬戸先輩が私の方を見た。

「大好きなものを辞めるのって、すごく大変なことだと思うんです! だから、本人がしょうもないって思う理由だったとしても……どんな理由だって、本人にとってはすごく大事な理由なんだと思うんです! だから、私はどんな理由で辞めたんだとしても、がっかりなんてしません!!」

 すると、彼がくしゃりと顔を歪めた。

「そうか……」

 彼が自分の顔を大きな掌で覆い隠した。

「瀬戸先輩……」

 しばらく、彼は何も声を発さなかった。
 私はそれを黙って見つめる。
 ただ黙ったまま、同じ時間を一緒に過ごす。
 どれぐらいの時が経っただろうか――。

「だったら、なあ……聞いてくれるか……?」

 そうして、ポツリポツリと彼は自分の過去を話し始めたのだった。