夕ご飯を準備した後、お風呂に入ることになった。
湯船に浸かって、のんびりする。
「ふう……今日も瀬戸先輩の意外な一面を見ることが出来たな……」
コワモテだなって思ったけれど……。
バスケをやってイキイキしている彼の姿を見て気づいたことがある。
たぶん、瀬戸先輩は……。
「セトくんな気がするんだよね……推しの勘だけど……」
昔の写真なんかを見たら一発で分かると思うんだけど……。
ずっとバスケやってないのかな?
もしかしてお母さんみたいに病気になっちゃったのかな?
そんな風に心配してたから、ちゃんと元気にしてくれてるだけで、なんだか嬉しくて仕方がないんだ。
「……こんな偶然って本当にあるのかな……?」
たまたまお母さんの知り合いのおじさんが、推しのお父さんだったなんて……。
「だけど、本当にあるんだろうな……奇跡みたいな不思議なことって……」
そう考えたら、自然に頬が緩んでしまう。
「べ、別に、バスケをしているセトくんの推しなだけで、瀬戸先輩とどうこうなりたいわけじゃなくって……」
とはいえ、どうしてもイケメンなだけじゃなくって、やたらと私に優しく接してくる彼のことが気になってしまうのだ……。
「雇い主の息子さんなだけ……! 勘違いしたらダメ!」
考え事をしていたら、時間が経ってしまっていた。
「よし、上がらなきゃ……!」
気合いを入れてザパンと湯船から飛び上がる。
そうして、浴室のガラス戸を勢いよくあけたんだけど――。
「あ」
「あ」
そこにいたのは――。
「え、あ、ああああ、瀬戸……」
「加賀美百合……」
――あれ?
お互い裸だよね……。
「きゃあああああああああ」
夜のお屋敷に私の絶叫が鳴り響いたのだった。


