ちょっと待っててくれと言われて、ベンチに座って待っていると――。
「ほら、加賀美百合、喉が渇いたろ?」
炭酸飲料を渡されたのだった。
「ありがとうございます」
そう言って、私は缶を開けると口をつけてゴクゴクと飲む。
シュワシュワの泡が喉で弾けて刺激的で、ヒンヤリしていて胸がキーンと冷たくなって気持ちが良かった。
「美味しい……!」
ゴクゴク途中まで飲んでいたんだけど……。
「あれ? 先輩は買わなかったんですか?」
「そういえば、お前に何か買ってやらなきゃってことばっかり、頭にあったな」
私に買うことを優先してくれただなんて、なんだろう。
さっきのハジメ君の話じゃないけど、なんだか本当に彼女になったみたいで、なんだか気恥ずかしい。
「そうだったんですね。ごめんなさい、私ばっかり飲んでしまって」
「謝る必要もないさ。俺は別にそこの水道水で良い。ああ、それか、お前がもう飲まないんだったら――」
瀬戸先輩はそう言うと、ひょいっと私が両手で持っていた炭酸飲料の缶を取り上げて――。
「あ――」
なんと――。
缶の縁に口をつけて、ゴクゴクと飲み干しはじめたのだった。
そ、それは、さっき私が口をつけていた場所で……!
だが、止める間もなく……。
「……やっぱり、炭酸はうまいな」
瀬戸先輩は全部飲んでしまったのだった。
こんなに動揺しているのは私だけ……?
だって、今のは――。
「かかか……」
「なんだよ、またお前、おかしくなって……」
「だって、その缶、は……」
私が告げると、しばらくだんまりになった瀬戸先輩だったけれど……。
「あ……」
気づいてしまったのか、彼の顔が真っ赤になってしまった。
「別に、お前と間接キスしたかったから、やったわけじゃなくってだな……!」
「ちょっと、大きな声で間接キスとか言わないでください……!!」
「いや、お前の方が声、大きいっての……!」
二人して顔を真っ赤にしてやり過ごしていると――。
「ああ、まだお姉ちゃん達、公園でイチャイチャしてたの……!?」
なんと、近くで友達らとバスケをしていたハジメ君が現われて、私たちのことを指さしはじめたのだ。
公園でイチャイチャ……!
周りからはそんな風に見えているのかと思ったら、まだ春先なのに、夏なのっていうぐらい身体が熱くなってしまった。
「ああ、ほら、これ以上、色々言われる前に帰るぞ、加賀美百合」
「は、はい」
そうして、私たちはそそくさと公園を後にすることにした。
……そんな私たちの光景をじーっと見ている影がいたなんて、その時の私は気づかずにいたのだった。


