君のことが大嫌い

「おい、金貸せよ」

どこからか声が聞こえてくる。

体育館が近いから、劇でもやっているのだろうか。

それにしても物騒な劇をやるものだ。

「なぁ凪、いいよな?」

……凪?

凪って、君の名前と一緒だ。

少し落ち着いた空間であるこの場所に、少し張った声はよく響いている。

体育館と離れるにつれ大きく聞こえるその声は、今ここのどこかの教室だとわかった。