君はただのクラスメイトだった。

私の苗字の藍住と君の苗字の綿木は、教室の隅と隅。オセロで言う斜めの角だ。

「藍住さんと綿木くん、ジャンケン」

席替えのときとか、全員発表があるときとかに先生に指名されてジャンケンをする仲ではあったけど、その他に交流はない。

「涼香、移動だよ」

「あ、うん。行こっ」

そのときに私の目の片隅に移るのは、私と同じように移動を始める綿木くん。

君はよく、私の目に映った。