3年越しのバレンタイン

「四ノ宮って、カノジョいないんだってさー」

 いつものようにお弁当のミニトマトを口の中に放り込みながら、『明日、晴れるんだってさー』って言うくらいの調子で瑠梨ちゃんが言うのを聞いて、思わず卵焼きを吹き出しそうになった。

「へ、へぇ~、そうなんだ。モテそうなのにね」

 瑠梨ちゃんとの恋バナは、わたしはいつもただの聞き役で、自分から好きな人の話をしたこともなければ、瑠梨ちゃんに尋ねられたこともなかった。

 ……はずなのに、わたしの気持ちは、いつの間にか瑠梨ちゃんにバレバレだったみたい。

「だよねー。だから、早くコクらないと、いつ誰のものになってもおかしくないと思うんだー」

 ちらりと視線を寄こす瑠梨ちゃん。

「で、でもわたしには関係ないかな~」

 あははと笑ってごまかそうとするわたしに、瑠梨ちゃんが盛大なため息をつく。