3年越しのバレンタイン

 すらっと背が高く、だけど腕や脚にはしっかりと筋肉がついていて。

 ウエアで汗を拭う仕草も、周囲を鼓舞する声も、全部がキラキラ輝いてみえる。

 こうやって体育館にいるほんの短い時間に、こっそり四ノ宮くんを目で追うのが、部活終わりの、わたしの密かな楽しみになった。


 そんな四ノ宮くんと、3年生になってはじめて同じクラスになって。

 だけどやっぱりわたしは見つめるだけ。

 積極的に話しかけにいくような勇気は、これっぽっちもなかった。


 たまに四ノ宮くんがわたしの視線に気付いたのか、ふっとこっちを見る気配をいち早く察知しては、視線をそらす。

 その繰り返し。