◇◇◇
「危ない!」
え……?
吹奏楽部の練習が終わり、体育館に入ってすぐのところにある楽器庫に片付けに入ったときのこと。
声のする方を見たわたしの顔面に向かって、黄色と青のバレーボールが飛んでくる。
まるでスローモーションのようにゆっくり見えるのに、体が硬直して、1ミリも動かせない。
そんなわたしの目の前を、黒い影が風のように横切った。
「あっぶね」
小さなつぶやきのあと、
「ごめん、大丈夫だった?」
その黒い影——しっかりとボールをキャッチした四ノ宮くんが、申し訳なさそうにわたしを見た。
「えと……はい。大丈夫です」
「そっか。よかった」
そう言って太陽のような明るい笑顔を残して去っていくうしろ姿に、わたしの目はしばらくの間釘付けになった。
それが、高校1年生の5月——四ノ宮くんとの出会いだった。
「危ない!」
え……?
吹奏楽部の練習が終わり、体育館に入ってすぐのところにある楽器庫に片付けに入ったときのこと。
声のする方を見たわたしの顔面に向かって、黄色と青のバレーボールが飛んでくる。
まるでスローモーションのようにゆっくり見えるのに、体が硬直して、1ミリも動かせない。
そんなわたしの目の前を、黒い影が風のように横切った。
「あっぶね」
小さなつぶやきのあと、
「ごめん、大丈夫だった?」
その黒い影——しっかりとボールをキャッチした四ノ宮くんが、申し訳なさそうにわたしを見た。
「えと……はい。大丈夫です」
「そっか。よかった」
そう言って太陽のような明るい笑顔を残して去っていくうしろ姿に、わたしの目はしばらくの間釘付けになった。
それが、高校1年生の5月——四ノ宮くんとの出会いだった。