「同窓会?」

『そうそう。もちろん、行くよね?』

 瑠梨ちゃんから高校の同窓会の連絡が来たのは、気の早い初雪の舞う12月のはじめだった。

「わたしは……やめとく。そういうの、苦手だし」

『なに言ってんの! 東京の大学行ってる四ノ宮も来るってウワサだよ? しかも2月14日だなんてさ。もう、行くっきゃないでしょ』

 卒業から3年、一度も聞くことのなかった四ノ宮くんの名前に、ズキッと胸がうずく。


 もう忘れたと思っていたのに。

 忘れたつもりだったのに。


「……わ、わたしね、他に好きな人できたんだ。だから……」

『えーっ!? マジで?? 誰? どんな人?』

 瑠梨ちゃんが食いついてくる。

 しまった。これは失敗だったみたいだ。

「お、同じ大学で、ゼミが一緒の人なんだけど……」

『そっかー。じゃあ、2月14日はその人と過ごすの? あ、それともその日に告白する予定とか? なら仕方ないかー』


 告白の予定なんかないし、ましてや付き合ってなんかもいない。

 だって、全部ウソなんだから。


『って、あたしが騙されるとでも思ったわけ?』

 瑠梨ちゃんの呆れた声が聞こえる。


 う……さすが瑠梨ちゃん。だてに幼稚園からの付き合いではないか。


『佳音が一途なのは、よーく知ってますから』