3年越しのバレンタイン

 心臓のドキドキが、今までの比じゃないくらい。

 四ノ宮くんにまで聞こえてしまいそう……!

「よ……よろしくお願いします」

 顔をうつむかせたまま消え入りそうな声をなんとか絞り出すと、体がふわっと温かい熱に包まれた。

 わ、わたし……。

 慌てて四ノ宮くんから離れようとしたんだけど、さらにぎゅっと力がこもる。

「3年、待ったから……。ごめん、しばらくこのままでいさせて」

 思いがけない甘い囁きに、心臓のドキドキがさらに加速する。

 いい……のかな。イヤじゃない……かな。

 おそるおそる四ノ宮くんの背中に手を回すと、おでこを四ノ宮くんの胸元に預けた。

「笹本さん……佳音……大好き」

 吐息とともに聞こえる愛の囁きに、たまらずわたしは四ノ宮くんにぎゅっと抱きついた。

「わたしも。樹くんが……好き、です」