3年越しのバレンタイン

「……行く。行きたい。四ノ宮くんの、応援」

「マジ?」

 四ノ宮くんが、今までに見たことのないような、はにかんだ笑みを浮かべた。

「やばっ、すげーうれしい」

「あのっ、四ノ宮くん、これ……3年前に渡せなかった……」

 そう言いながら、震える手で小さな箱をそっと四ノ宮くんに差し出した。

「いや、3年前のじゃないからね!? 大丈夫、新しいのだから。で、でも、試合終わってから食べて。もし、お腹壊したら困るから……」

「え。ひょっとして、手作り?」

「う、うん……」


 引いたかな? 重いって思われた? 突然手作りのものを渡すなんて。

 やっぱり、買ったものにすればよかったかな……。