「久しぶり、笹本さん」

「お、お久しぶりです……」

 緊張しすぎて、思わず敬語になってしまう。

「あの……みんな、もう来てますか?」

「ああ……ごめん、同窓会は明日なんだ」

「そうなんだ、あし……明日!?」

 驚いて四ノ宮くんの顔を見上げると、イタズラっぽい笑みを浮かべていた。

「今日、どうしても笹本さんに会いたくて」

 ……どうして?

「ずっと聞きたかったんだ。あのさ……ひょっとして、これくれたのって笹本さんだった?」

 四ノ宮くんが上着のポケットからなにかを取り出し、わたしに向かって広げてみせる。


『放課後、駅の横のどんぐり公園に来てください』


 それは、紛れもなくわたしが3年前の2月13日に四ノ宮くんに渡したもので。

「っ……そう、だけど……」

 わたしの黒歴史を目の前に突き付けられ、ごめんなさいと平謝りしてこの場から逃げ出したい……!