「……小森さん」

色白の肌にブラウンの髪が、若々しさときらめきを表していて、思わず目を細めてしまう。
自分という人間を熟知して、どこを強調すればいいのか分かっている。つまり、完璧に可愛いということ。

「いろいろと、教えてもらったりフォローしてもらったり、ありがとうございました」
「い、いえ……」

仁平さんはどこに行ったんだろう?

きょろきょろとしていると、不自然なほどに近距離まで小森が私に近付いた。
その目がまた異様に光を放っている。

「あ、あの、どうしたの?」
「小暮さん、桐谷さんとはどういう関係なんですか?」
「は?」

思わず、素の声が出てしまった。

「小暮さんって、一体、何者なんですか」
「何者って……」
「実は一番、小暮さんみたいな人が怖かったりして」

さらに一歩私に近付く。

「私、見たんです。階段の踊り場で」

階段の踊り場――。

「桐谷さんと小暮さんって、どういう関係ですか? まさか、本当は付き合ってるなんて馬鹿なことはないですよね? 桐谷さんが選ぶ人が小暮さんだとはどうしても思えなくて、何度も何度も考えたんです。でも、あの光景が目から離れない。小暮さんの口から教えてください」

静かだけれど硬い声。その目は、これまで私に向けられていたものとはまるで違っていた。

「桐谷さんと付き合ってるなんて、そんなことはありません。違います」

とにかく事実と異なる部分については否定しておかなければと思った。

「じゃあ、何なんですか、あれ。抱き合ってましたよね」
「あ、あれは……」
「どうして、小暮さんと桐谷さんが抱き合うような状況になるんですか。全然意味が分かりません!」

声を押えて冷静さを保っていた小森の口調が強くなる。