「陽太も、だぞ?」
「あー、困った。ひまちゃんだけは連れて行きたくないんだよなあ」
「……animalfarm……か」
「そうだよ、俺、夏休み中ずっといるつもりだったのに」
「……俺たちももう手伝えないしな」
「だよ! ややこしい……。まあ、何とかしよう」

陽太が帰ると、

「……なぜ、手伝いに行ってはいけないんだ?」
真顔で訊ねてくる昂良に

「元カノ、いるからだろ?」と、裏鉄拳をお見舞いする。

別に気にしなくてもいいんじゃないかといった表情の昂良に
「会うなら、あそこ以外で会えよ」
とだけ、アドバイスしておいた。

陽太の気持ちを考えると、昂良も松下とは付き合えないだろうに「俺はいいから」って言うんだろうな、陽太は。

「蝉は、カルシウムが多そうだな」

ビービーと悲鳴に近い音を鳴らして、カラスに咥えられた蝉を見て、昂良がボソリ言った。

「あー、そうだな」
全然わからないけど、適当に相づちを打つ。

「夏の終わりに、死骸が道路で車に敷かれてふりかけみたいになってるの見るたびに思ってたんだ……」
「そうか、死んだら、どうなるんだろな?」
「土に還るのだろう、去年の死骸が残っていないことを思うと」
「マジレス、さんきゅ」

お前がさっき、死んだらどうなるか知りたいって言ったんだろうが、よ。