「因みに、じいちゃんとばあちゃんも元気だから、9人家族」
「ええええ!? うちの3倍だよ?」
「本当だ。俺たちが小さい頃は大変だったみたいだけど……。9人もいて、何世代も前からここに住んでるだろ? だいたい知り合い」
「あはは! そうかも」

ふと、思い出すことがあって、顔をあげた。

「塔ヶ崎くんて、彼女切れないよね?」
「…………何だよ、それ。そんなこともないけど」
「いつも、女の子が教室に遊びに来てた。違う学年の人とかも」
「同じ高校……ってことか。それなら単なる知り合いだな。いっぱいいるからさ。ついでに、『喉痛いんだけど、風邪かな?』とか言ってくる人もいる。俺、わからねっつの」
「そっか」

そっか、彼女じゃないのか。そっか。
それにほっとして

「よく見てんね」
そう言われて、また頬が熱くなる。
よく、見てたんだろうな、私……。

「でも、モテたでしょう?」
「…………まあ」
「あんまり、自分から告白なんてしなさそうだもんね」
「……悪かったな、受け身で」

私も、自分から告白なんてしたことないけど、告白されたこともないなあ。

「単純なんだよ、俺。好きだって言われたら……動揺するし……気になってくる」

肘をついて、行儀が良いとは言えない格好だけど、どうも様になる。流すような目で見られてはこちらこそ動揺してしまう。