「今は、どっちなんだろうね、聡子は」
「好きなんだと思うけど?」
「稀有だねー」

おどけた塔ヶ崎くんも、何を考えるのかあんまり、わからない。

「塔ヶ崎くん、ご家族はお忙しいの?」
「うん、自営業だしね。弟と妹は部活三昧」
「そっかあ、それは忙し……え? 弟さんと妹さんがいるの? あれ、お兄さんとお姉さんも……」
「うん、いる。……言っておくけど、父親と母親、全員一緒だから。俺合わせて5人いんの」
「ええええ!?」

ここへ来て、もうひとつ、この人を羨ましい。そう思うことになった。

「うん。結構驚かれる。俺、ど真ん中なんだよね。男3人の真ん中でもあるし、5人の真ん中でもあるし……やっぱ、変わってるの?
って、言われるけど、聡子、どう思う? 」

「え、わからないなあ。じゃあ、一人っ子の私は長女で真ん中で末っ子なのかな……」
「……寂しい?」
「わからない。最初から無かったから、どんな感じなのか。いいなあとは思うけど、想像つかないな。親が、姉妹のような友達作れとか、いい人と結婚出来たら……なんて言うんだけど、こんな性格だしそっちの方が難しい……」

「はは、また、眉間!」
と、注意される。

「《《こんな性格》》、いいと思うけどね、俺は」
そう言われると、頬が熱くなった。