結局、可愛い子は何を着ても可愛くて、その子と私では似合うものが違うということがわかった。
服だけ流行りのものにしても、髪型とか靴とか、雰囲気とか、そんなのが整ってないと今度は服がダサく見えてしまう。トータルコーディネートってやつなんだよね。付け焼き刃じゃあ、余計ダサくなる。
肩より少し長く切り揃えただけのまったく癖もない黒髪。陽葵みたいにふわふわ柔らかそうな髪ならなあ。清夏みたいに綺麗なおでこで、綺麗な形の眉ならなあ。
前髪も、ただ邪魔にならない程度に切り揃えてあるだけだ。
わかっていたのに、どうして今まで努力しなかったんだろう。夏休み前に聞いておけば、陽葵も清夏も、私の服装や髪型について相談に乗ってくれただろうに。

初めて、人に見られるということを意識した。人にどう思われるか。
そうしたら、ものすごく自分の評価が低くなってしまい、恥ずかしい。
人にどう思われるか……塔ヶ崎くんにどう思われるか。
つまらない奴だとは思われたくなかった。
明日から急に服装が変わっても、逆に恥ずかしいし、お洒落な塔ヶ崎くんから見たら、私の選んだ服は、お洒落を頑張った人みたいに映るかもしれない。

せめて、これだけでも。と、足の指に塗るためにネイルポリッシュを1本だけ買った。
それさえ迷いに迷って、自爪と変わらないくらいのピンク色を選んだ。
それから、明日のために手土産を選んだ。